たんぽぽ
 春華と一度も話すことのないまま、二学期を向かえ、僕はまたしてもやってしまった。

 その日、僕は英男と楠川と寮の部屋で飲めない酒を飲んでいた。

 僕達はある程度できあがると、案の定、調子に乗り始め、女の子と飲もう!ということになった。

 女子寮の女の子を男子寮に忍び込ませるのは、何度かしたことがあったし、めぼしい女の子にもすぐ連絡が取れた。

 今までバレなかったという油断と酒の酔いで僕達はすぐに実行に移した。

 そして…。

 案の定、見事に寮監の先生に見つかり御用となってしまったのだ。

 僕はいつもこうだ。

 悪いことをすると必ず捕まる。そして、捕まった後に後悔するのだ。

 しかし、捕まってから後悔しても遅いことはこれまでに嫌というほど身をもって経験してきた。

 それでも懲りない僕は、とうとう退寮処分になってしまった。

 英男と楠川はなんとか助かった。女の子を男子寮に入れる現場にいたのは僕とその女の子だけだったため、英男と楠川は関係ないことにしたのだ。

 しかし、女の子には迷惑をかけてしまった。

 そして、また親にも迷惑をかけることになってしまった。

 あのとき、あれだけ強くもう二度と親には迷惑をかけまいと誓ったはずなのに…。

 僕は同じことを何度繰り返せば気がすむのだろうか。しかも、高校3年生という受験を控えた大切な時期に。

 自分が情けなくなった。

 肝心の親は、今回のことに怒るというよりもむしろ半分あきれた感じであった。

 しかし、それもそのはずだ。僕は本当に懲りなさ過ぎる。自分でそう思うのだからよっぽどだろう。

 最後には「若気の至り」ということで渋々許してもらったが本当に申し訳なく、自分が情けなかった。
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