月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
踏み込んだ話題もこういう表情で話せるんだ。

ホストの会話テクというものかしら。

ところで達郎のリアクションが気になって横目で見たが、絵に描いたような無表情だった。

ま、予想してたけどね…

「あ、すみません。自分で話の腰を折ってしまいましたね」

東は話を戻した。

「買った品を店に持っていくわけにはいかなかったので、一回しのぶさんのマンションに戻りました。荷物を置いてマンションを出たのは10時40分ごろだったと思います」

これはマンションの管理人に確認している。

吉原しのぶはマンションを出る際に受付の管理人に挨拶をしていた。

それは確かに10時40分ごろだったと管理人は証言した。

「マンションを出た後、しのぶさんは僕に公園まで歩かないかと言いました」

普段だったらマンションまでタクシーを呼ぶようにしていたのでおかしいなと思ったという。

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