月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「あたしが見る夢はね…暗い暗い、どん底のような闇の中…」
声が闇に溶けてゆく。
「そんな闇の中、見ず知らずの男に喉を切り裂かれる夢よ」
しのぶの口もとが笑いの形に歪んだ。
横倉の全身に冷たいものが走った。
知らないうちに汗が吹き出ていた。
「はじめはすごく恐ろしかった。でもそのうち夢の中のあたしは、闇の中の男に対して、自分から喉をさし出すようになった」
しのぶは顎をゆっくりと反らした。
先ほど見惚れた喉が目にとまる。
その喉はやはり美しかった。
「男の持つ銀色のナイフがあたしの首筋に触れると、一気に横へ走るの」
しのぶは己の喉を指でなぞった。
「次の瞬間、痛みと共に真っ赤な血が大量に吹き出る。とても恐ろしい夢…」
言葉とは裏腹に、彼女の笑みを浮かべ続ける。
「それなのにあたしは、どくどく流れる血と共に、何かから解放された気持ちになる…」
彼女の独白の声は喘ぎに近かった。
声が闇に溶けてゆく。
「そんな闇の中、見ず知らずの男に喉を切り裂かれる夢よ」
しのぶの口もとが笑いの形に歪んだ。
横倉の全身に冷たいものが走った。
知らないうちに汗が吹き出ていた。
「はじめはすごく恐ろしかった。でもそのうち夢の中のあたしは、闇の中の男に対して、自分から喉をさし出すようになった」
しのぶは顎をゆっくりと反らした。
先ほど見惚れた喉が目にとまる。
その喉はやはり美しかった。
「男の持つ銀色のナイフがあたしの首筋に触れると、一気に横へ走るの」
しのぶは己の喉を指でなぞった。
「次の瞬間、痛みと共に真っ赤な血が大量に吹き出る。とても恐ろしい夢…」
言葉とは裏腹に、彼女の笑みを浮かべ続ける。
「それなのにあたしは、どくどく流れる血と共に、何かから解放された気持ちになる…」
彼女の独白の声は喘ぎに近かった。