月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
あたしたちは小さなテーブルをはさんで向かい合った。
「どうですか」
達郎はそう切り出した。
「どうと言いますと?」
洋子は首をかしげる。
「吉原さんが亡くなって二日がたちました。何か心境に変化はありましたか?」
この問い掛けに対し、洋子は複雑な表情を浮かべた。
「正直なんて言ったらいいのか…しのぶが死んだと聞いた時も、特に悲しいとか思わなかったんです、あたし」
洋子はそう言ってテーブルに視線を落とした。
「なんかこう、店で電話や他愛もない話をする相手がいなくなったっていう喪失感はあるんですけど、それで悲しいかっていうと…」
洋子の口もとには笑みが浮かんでいた。
あたしにはそれが、言いたいことを言葉にできないもどかしさをごまかしているように見えた。
思うに、吉原しのぶと小山洋子はちょうどいい距離を保った関係だったのだろう。
「どうですか」
達郎はそう切り出した。
「どうと言いますと?」
洋子は首をかしげる。
「吉原さんが亡くなって二日がたちました。何か心境に変化はありましたか?」
この問い掛けに対し、洋子は複雑な表情を浮かべた。
「正直なんて言ったらいいのか…しのぶが死んだと聞いた時も、特に悲しいとか思わなかったんです、あたし」
洋子はそう言ってテーブルに視線を落とした。
「なんかこう、店で電話や他愛もない話をする相手がいなくなったっていう喪失感はあるんですけど、それで悲しいかっていうと…」
洋子の口もとには笑みが浮かんでいた。
あたしにはそれが、言いたいことを言葉にできないもどかしさをごまかしているように見えた。
思うに、吉原しのぶと小山洋子はちょうどいい距離を保った関係だったのだろう。