月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
くっつき過ぎず離れ過ぎず、お互いの領域には踏み込まず、それでいていろんな事をいいあえる。

淡泊といってしまえばそれまでだが、別に悪い関係ではない。

「あたし冷たいんですかね?」

そんなことはない。

自分たちが「大人」な関係だったことに気付いてないだけだろう。

いくら夜の蝶とはいっても、このへんは22歳の若者らしい。

「小山さんは冷たくなんかはないですよ」

達郎もそのへんはわかっているようだ。

「そのことに気付かずにいる女性よりは貴女はずっと優しい人だと思います」

ちょ、ちょい待ち!

なんだその言い回し!?

小山洋子を見ると、案の定その顔は真っ赤になっていた。

まったく、天然発言にもほどがあるぞ、達郎。

「ところで昨夜のことでお話を伺いたいのですがよろしいですか」

達郎が自分で話を戻したのであたしは安心した。

「はい、なんでも!」

洋子の潤んだ瞳はこの際ほっとこう。

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