月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「それは本当ですか?」

「今からそのエピソードを話しますので、聞いて頂けますか。後で小山さんの意見をうかがいたいのです」

私で良ければと、洋子は承知した。

「では…」

そう言って達郎が語りはじめたのは昨夜の東久志の証言だった。

達郎はそれを正確に忠実に再現した。

洋子は最初、東の名前が出たことに驚いた様子だった。

しかし話が進むうちその目は大きく見開かれ、口もとに手をあてる回数も多くなった。

「…以上です」

達郎が語り終えた時、あたしの手のひらは昨夜と同じように汗でびっしょりになっていた。

「どう思われましたか」

「どう、って言われましても…」

それはもっともな感想だと思った。

「信じられる内容だと思いましたか」

「あたしはその東さんのことはよく知りませんがその人がそう言ったなら本当のことじゃないでしょうか。それに…」

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