月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
あまりにも現実離れしてるが故に、かえって現実味がある。

なぜなら現実でなければ口にはできない内容の話だから。

そういった意味のことを洋子は口にした。

「なるほど」

達郎はうなずいた。

「では吉原さんの夢と、それに対する思いが本物だとしましょう。そのことについてはどう思われましたか」

洋子はこめかみに手を当てた。

目をつぶり、考えこむ。

しばらくして、しぼり出すように言った。

「変な言い方ですけど…しのぶは一途なとこがあったんだなと」

「一途ですか」

「自分を殺しにくる男を受け入れるだなんて、信じられない話ですけど、普段のしのぶからは考えられないことだから…」

え?

「それはどういうことですか?」

あたしは洋子の言葉尻を聞き逃さなかった。

「小山さんの言い方ですと、吉原さんには横倉さんの他にも関係のあった男性がいたということですか?」

「それは…常連のお客さんは他にもいますし…」

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