ウェンディ~君に贈る花~
随分と頭のいい鳩だ。
駅へ向かう俺と一定の距離を保ってついてくる。
黙ってついてくるということは、こちらの方向、おそらくは駅で合っているのだろう。
鳩の他におかしな気配は感じない。
この鍵の送り主は、一体何が目的なのか。
(あー!こえー)
ロッカーを開けた途端、「ドカン!」なんてことになったらどうしたもんか。
想像を膨らませて警戒しながら、それでも歩みを止めないのは好奇心のせいだ。
どうせ引き返したところで、相手は俺の家まで知っているんだ。
もし俺の命を狙っているなら「ドカン!」を先延ばしにするだけだしな。