その手に触れたくて

あたしはその場からゆっくりと足を進めて行く。そんなあたしに敦っちゃんは何も言わなかった。

隼人が行った通りをあたしは歩いて行く。


本当は行かないほうがいいと思った。あんなに怒っていた隼人の傍に行かないほうがいいと思った。

だけどそれとは別に隼人と先輩を2人っきりにはさせたくなかった。


第2校舎へ続く渡り廊下のドアを開け、廊下を渡りきった時、


「てめぇ!!」


隼人の怒りの満ちた声と同時にバンッ――…と何かがぶち当たった音が辺りを響かせた。

その鈍い音に身体が身震いする。


恐る恐る声のする方向へ顔を覗かせると隼人は先輩の胸倉を掴んでて壁に押しあててた。

その光景を見た途端、何故か足が前へ進まなくなって、あたしはそっと身体を隠した。


「何すんのよ!!痛いじゃん!!」

「これくらいで痛い訳ねぇだろ!!お前、自分のした事分かってんのかよ!!アイツの痛さ分かってんのかよ!!」


隼人の声がいつも以上に凄くて、あたしは足すら動かなくって、身を潜めたまま俯く事しか出来なかった。

アイツってのは、きっとあたしの事だ――…


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