その手に触れたくて

「あたし別れないって言ったじゃん!!まだ、あたしは隼人と別れてない!!」


先輩の叫び声を聞いた途端、あたしは思わず唇を噛み締めた。

先輩はまだ隼人の事を想ってる。なのに、あたしは隼人を奪った。


って言うか、奪ったかどうかなんて自分にでも分かんない。あたしにはどうする事も出来ない。


「俺は…もうお前とは終わってる」


さっきまで荒れていた隼人の声がだんだんと小さく落ちていく。


「意味わかんないし。ずっと今まで一緒に居たじゃん。助けてくれたじゃん!!」

「前までは一緒に居たいとか、誰が大切だとか一番だとか考えた事もなかった。ただ困ってんなら助けてやりてぇって思っただけだ。」

「……」

「俺とお前は元々そう言う関係じゃねぇだろ?好きとか…一緒に居るのが当たり前とか…」

「……」

「でもよ、今は一番に考えたい奴が俺にはいる」

「あたしは…あたしはソイツを許さない!!」


先輩の張り上げた声が誰も居ない廊下に響き渡り、それと同時に何故だかあたしの目尻から熱い何かが落ちてた。


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