その手に触れたくて
「…ごめん。…隼人…」
「……」
自転車置き場に着いて、隼人は自分の自転車の籠に鞄2つを突っ込むと同時に隼人はもう一度、深いため息をついた。
やっぱ怒ってるよね?
「…隼人?」
「……」
「ごめん…」
「……ねぇよ」
「え?」
「だから怒ってねぇって。美月は何も悪くねぇ…謝んなよ。怒ってんのは自分自身にだ」
そう言った隼人は身体をあたしの方へと向け、あたしの頬を手の甲で軽く触れた後、身体を強く抱き締めた。
「…はや…と?」
隼人の行動に戸惑う声が漏れる。
「ごめん美月…悪かった。美月に気付いてやれなかった事に腹が立つ。…ごめんな、俺の所為で…」
隼人の抱き締めている腕が震えているのが分かる。
あたしの肩に顔を埋めている隼人は、何度も“ごめん”と呟きながら深く息を吐き出していた。
「隼人の所為じゃないよ?あたし大丈夫だから…全然」
「大丈夫じゃねぇだろ。強がんなよ」
そう言った隼人の声は少し震えてて、あたしを抱き締める隼人の力が強くなった気がした。