その手に触れたくて

もう遊ぶルートはいつもと同じで、お昼ご飯はパスタを食べて何気ない会話をし、ショッピングを歩きまわって4時ごろにはカフェに入ってお茶をするって感じで1日は終わる。

そんないつもと変わらない毎日が普通に過ぎて行く。

夏美も相沢さんも今までと全く普通で、一緒に居る事が凄く落ち着くし嬉しかった。


でも、だけど時々ふと隼人が頭を過る。夏休みだからどーしてんのかも分かんないし、全く何もかもが分かんなかった。

もしかしたら新しい彼女と居るのかな?なんて思うと、どーしょうもないくらい心が痛かった。


もう、隼人の中にあたしと言う存在は居ないのに…居ないのに、携帯をすぐ見てしまうあたしは何なんだろう。

もしかしたらメールが入ってんじゃないかって思って、確認する自分が今でも居る。


だから一人になると余計に変な事ばかり考えて頭がおかしくなりそうだった。だから夏美と相沢さんの存在がとても大きく感じてあたしには凄く2人の存在が嬉しかった。


そんな夏美と相沢さんと別れた夜。時刻は8時。

ふと思い出した場所。どーしても、どーしてもその場所に行きたくなって仕方がなかったあたしは、その場所へと立ち寄った。

長い階段が真っ先に続いている。頂上が見えないくらいのその階段をあたしは一段一段踏みしめながら上った。


ホントなら隼人と一緒に登ってた階段。手を繋いで登ってた階段。あたしの歩幅に合わせて上った階段。

だけど、その隼人はもうあたしの隣には居ない。

その触れた温もりがあたしの中から消えそうで怖かった。


“また来ようね”って言ったのに、叶わなかった。そう言えば、あの時隼人は曖昧だった。今思えば、今度来ようと言うあたしに曖昧な返事しかしなかった。

“俺の事スキ?”って、聞いてきた隼人。…なんであたしは逆に“あたしの事スキ?”って聞かなかったんだろって今更ながらに思った。


戻れるのなら、戻れるのなら…どうか、あの時に戻ってほしい。


戻って、もし聞いていたら隼人は何て答えてた?

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