その手に触れたくて
階段を登りきって息を荒くさせながら見渡す場所は綺麗に輝く街並み。
深呼吸をするため空を見上げると、あたしの心とは正反対の輝きがあった。
この風景は何も変わんないのに、あたし達はどうして変わってしまったんだろう。もう、いい加減に忘れなくちゃいけないのに、どうしても忘れられない隼人の存在がまだ残ってる。
この広がる景色をもっと見たいと思ったあたしは足を進ませる。だんだんと広がって見えてくるその景色に感動すると同時に、あたしの足はそこでピタッと止まった。
まるで芝生に吸いつけられる様なその感覚。動こうとしてもその足が動かないのは、あたしの視界に入って来る人物。
「…隼人」
思わず声を漏らしてしまった所為で、寝転んでいた隼人はあたしに視線を向ける。
辺りが暗い所為で隼人の表情なんて全く分かんないけど、きっとあたしの存在に驚いてると思う。
ジッと見つめるあたしに隼人は身体を起し、立ち上がる。だけど立ち上がった隼人は何も言わずにあたしの前を通り過ぎた。
だから余計に苦しくなった。
何で避けんの?
ねぇ、どうして?
だから、
「ねぇ、待ってよ!!待ってよ、隼人!!」
思わず声を張り上げた。