その手に触れたくて

「紅茶でいいですか?」

「うん。なんでもいいよ。あ、じゃあケーキ切るね」


そう言った凛さんは箱を開ける。その中から姿を表せたのはフワフワした滑らかなチーズケーキのワンホール。


「美味しそう」

「でしょ?まだ全然余るから美月ちゃんのママにも響にもあげなよ」

「あ、はい…」


凛さんが切ったケーキがお皿に置かれる。凛さんは椅子に腰を下ろすと、


「実はさ、美月ちゃんのママに言われたんだよね」


そう言って表情を崩し凛さんは紅茶を口に含んだ。


「え?」

「美月がここ最近調子悪いって。ご飯も全然食べなくて、ずっと寝てばかりなの。って、そう言ってた。だから心配になって来たんだよね」


あたしを見つめる凛さんから視線を逸らす。

ママがそう思うのにも仕方がないと思った。


「どうしたの?なんかあった?」


覗き込む様に続けられた言葉に、あたしは更に視線を落とす。

どう…何をどう言ったらいいのか分かんない。


だから…


「いえ…ただ調子が悪いだけで…」


そう言うしかなかった。
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