その手に触れたくて

「そっか」

「……」


得に深く聞いてこない凛さんはいつもの表情でチーズケーキを口に運ぶ。


「まぁ、でもさ。何かあったら言ってね。多分きっと響も心配してると思うからさ」

「……」

「ほら、なんて言うの?第二の父親って感じだからさ」

「……」


そう言った凛さんはクスクス笑みを漏らして笑った。

そう言えば、最近お兄ちゃんと会ってないや。と、言うよりも毎日毎日家に居るのに全然お兄ちゃんは声を掛けてはこない。

まぁ、あたしが話さないってのもあるかも知れないけど、全然何も言って来ないのはおかしい。

いつもならグチグチ煩いのに…


「じゃ、帰るね。もうすぐ美月ちゃんのママ帰ってくるんじゃない?」


暫く経った後、凛さんはそう言って立ち上がる。会話と言う会話はほぼしてない。と言うよりもほとんど凛さんだけが話してたと言う感じだった。

玄関まで見送って、凛さんがドアを閉めようとする瞬間、


「あのっ、」


あたしは咄嗟に叫んだ。


「うん?どうした?」


閉じかけていたドアがもう一度開くと、そこから凛さんは顔を出す。


「あの…、お兄ちゃん何か言ってました?」

「え、響?何で?」

「あ、いや…何も言ってこないから」


だから余計に気になる。







< 502 / 610 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop