その手に触れたくて
「別に何も言ってなかったよ。おとつい会ったけど何も美月ちゃんの事は言ってなかったよ」
「何も…」
「うん。全然いつもと変わんなかったよ」
「そう…ですか」
「うん。じゃ、帰るね。って隣だけどー」
そう微笑んで手を振った凛さんはバタンとドアを閉めたんだけど、あたしはその後を追いかける様にスリッパを履きドアを開けて外に出た。
「あのっ、凛さん!!」
すっかり辺りが暗くなった外にあたしの声が反響する。
今にでも家に入ろうとする凛さんはクルっと振り返り首を傾げた。
「どうした?」
「あたし…あの、あたし…」
「うん」
「…隼人と別れたんです」
「え?」
見つめる先の凛さんはあたしから瞳を逸らす事なくジッと見つめる。
「もう随分経つんですけど…」
「……」
「だから、何て言うのか。その、お兄ちゃんがまた原因なんかじゃないかって…」
「……」
「と言うか、お兄ちゃんを責めてる訳じゃないんだけど、お兄ちゃん…あたしに何も言ってこないんです。いつもなら煩いのに」
「……」
「だから、もしかして何んか知ってるんじゃないかーー…」
「それはないと思う」
あたしの言葉を遮って言ってきた凛さんはキッパリとした口調で言った。