廃陸の旅団
その男はフードをはずすと人懐っこい笑顔を見せた。

カムイはその顔に見覚えがあった。

「お前は、アリオス・クローバー。」

アリオスは自分の名前を呼ばれると嬉しそうにカムイ達の元へと近づいてきた。

「カムイ・フロストマン、私の名を覚えていてくれるとは感激ですよ。」

アリオスはサルマン私卿やクラナドの故郷などでカムイ達に接触していた。

しがない占い師。と自らを呼んだアリオスが何故ここにいるのか分かる者などいなかった。

アストンは話を戻すようにしてアリオスに問い掛ける。

「これが予言書ではないとすると、これはいったい?」

アリオスはアストンの丁寧な物言いに、気をよく答えた。

「これは観察者達が記したプログラムの過程なのですよ。」

アリオスの言葉に全員が首を傾げる。

聞いたこともないような言葉の羅列に全員が戸惑っていた。

そんな様子を見てアリオスは少し愉快そうに話を続けた。

「観察者。つまりこの世界を創造し、今尚この世界を見つめ続ける者のことです。」

「神…?」

ジンがそう呟くとアリオスは少しだけ哀れむような目をした。

「神…そう思いたいのならそれでいいでしょう。しかし彼らはあなた達の思う神ではない。」
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