天然彼氏。
「お待たせー!」
アンティーク調の、緩やかな曲線がハートを描いている背もたれのイスに座って君を待つこと約2分。
薔薇色のトレイを両手に戻ってきた君は、遅くなってごめんねと席につく。
「お店の人がね、ケーキにあう紅茶を特別に淹れてくれたんだ」
微笑みながら、おしゃれなお皿に乗ったケーキと鮮やかな色の紅茶が入ったカップをわたしの目の前にそっと置いてくれた。
「これ……」
繊細な白いクリームが、こんがりと綺麗に焼かれた生地に良く映えている。その上に何種類もの美しいフルーツが煌めき、何とも優美に飾られていて――。
「僕の、松野さんのイメージ。『夢の薫りとおひめさま』って名前のフルーツタルトなんだけど……」
君が、肘をつきながら、どうかな?って可愛く首を傾げている姿が。
(とっても愛おしいよ――。)
ぎゅっと抱きしめたくなる衝動をなんとか抑え、微かに震えている手を銀のフォークにのばす。
「本当に……“松野ゆめ”さんにぴったりなケーキだよ」