上海ふたりぐらし
点滴をしながら、Aに報告の電話を入れた。
「今、点滴してる。2、3日入院しないとダメだって。」
「もし、夜、退屈だったら、またメールして。電話でもいいよ。」
Aのことばはありがたかった。異国の地で心も体も疲れ果て、入院するハメになった今、彼の暖かいことばは身にしみた。
何かを注射されたせいで、私の目が急にかすみ、ほとんど見えなくなった。以前にも2度ほど同じようなことがあった。一過性のものだとわかっていたが、やはり不安でAに電話した。
「目がかすんで見えないよ。こんなんじゃ、メールできない。」
「少し休んだほうがいいよ。」
と言われ少し寝ることにした。普段は頑固な私だけど、Aの言うことなら素直に聞ける。
そして、夜になった。入院しているにもかかわらず、息子が寝るとやはり自由な気がして嬉しかった。普段住んでいる部屋と比べて静か過ぎる夜。空には、満月ではないが、とても明るい月が出ていた。早速Aにメールを送った。
「今日は、ありがとう。あなたのおかげで、焦らず冷静に対処できた。おまけにこんな綺麗なお月さまも観ることができたわ。」
「目がかすんでるんじゃなかった?早く寝たほうがいいよ。」
「もう、ほとんど治ったから。」
それから夜中まで、Aは中国のお月様に関する物語を話してくれたりして、ずっと付き合ってくれた。
次の日、私の病名は「急性胃腸炎」と判明した。寝不足や不摂生、そこにストレスなども加わった結果だろう、と勝手に解釈した。血液検査の結果は問題ないらしい。そこで、私はまた看護婦さんに詰め寄った。
「血液検査の結果も異状なし。今現在も異状なし。じゃ、すぐ退院させて。今、すぐ。」
何度も言った。看護婦さんが来るたび、ドクターが来るたび。
「今、点滴してる。2、3日入院しないとダメだって。」
「もし、夜、退屈だったら、またメールして。電話でもいいよ。」
Aのことばはありがたかった。異国の地で心も体も疲れ果て、入院するハメになった今、彼の暖かいことばは身にしみた。
何かを注射されたせいで、私の目が急にかすみ、ほとんど見えなくなった。以前にも2度ほど同じようなことがあった。一過性のものだとわかっていたが、やはり不安でAに電話した。
「目がかすんで見えないよ。こんなんじゃ、メールできない。」
「少し休んだほうがいいよ。」
と言われ少し寝ることにした。普段は頑固な私だけど、Aの言うことなら素直に聞ける。
そして、夜になった。入院しているにもかかわらず、息子が寝るとやはり自由な気がして嬉しかった。普段住んでいる部屋と比べて静か過ぎる夜。空には、満月ではないが、とても明るい月が出ていた。早速Aにメールを送った。
「今日は、ありがとう。あなたのおかげで、焦らず冷静に対処できた。おまけにこんな綺麗なお月さまも観ることができたわ。」
「目がかすんでるんじゃなかった?早く寝たほうがいいよ。」
「もう、ほとんど治ったから。」
それから夜中まで、Aは中国のお月様に関する物語を話してくれたりして、ずっと付き合ってくれた。
次の日、私の病名は「急性胃腸炎」と判明した。寝不足や不摂生、そこにストレスなども加わった結果だろう、と勝手に解釈した。血液検査の結果は問題ないらしい。そこで、私はまた看護婦さんに詰め寄った。
「血液検査の結果も異状なし。今現在も異状なし。じゃ、すぐ退院させて。今、すぐ。」
何度も言った。看護婦さんが来るたび、ドクターが来るたび。