お兄ちゃんは悪魔サマ

*協力者*

 


あれから少しして先輩が迎えに来た。途中逃げ出してしまいたいとも思った。

けれど今だけ逃げたって根本的な解決にはならないし、お兄ちゃんの為にと自分で決めた事……




先輩の家は学校から電車で4駅ほどの距離。実は、家に行くのは初めてだったりする。


家には誰も居ないのか、とても静かだった。
先輩の部屋に通されると、否が応にも緊張感が高まる……




「唯、心の準備とやらはもう出来たのか?」

「…………はい」

「じゃあこっちに来い」



先輩は部屋のベッドに腰掛けて私を呼ぶ。
私は入り口付近に突っ立ったままで、中々足が動かない……





「早くしろ。俺は気が長くないって言ったよな?大切なお兄ちゃんの為だろ?」




早くしなきゃ……

早く行かなきゃ……







その時、不意に背後からノックの音が聞こえて、ビクッと反応してしまった。




「兄貴〜電話なんだけど」

「……解った」



先輩は軽く舌打ちをして、すぐ帰って来ると部屋を出て行った。

開いたドアから1人の少年が部屋に入って来て、話しかけてきた。




「あんたさ、兄貴の彼女?」

「えっ……いや、彼女って言うか……」



一応立場的には彼女、になるのかな?
でも、今は……

私が返答に困って黙っていると、彼の口から驚きの言葉が飛び出してきた。




「あんたが助けたいのは、陵って悪魔の事?」

「っ……!?な、何でそれ……」



 
< 62 / 288 >

この作品をシェア

pagetop