お兄ちゃんは悪魔サマ
*協力者*
あれから少しして先輩が迎えに来た。途中逃げ出してしまいたいとも思った。
けれど今だけ逃げたって根本的な解決にはならないし、お兄ちゃんの為にと自分で決めた事……
先輩の家は学校から電車で4駅ほどの距離。実は、家に行くのは初めてだったりする。
家には誰も居ないのか、とても静かだった。
先輩の部屋に通されると、否が応にも緊張感が高まる……
「唯、心の準備とやらはもう出来たのか?」
「…………はい」
「じゃあこっちに来い」
先輩は部屋のベッドに腰掛けて私を呼ぶ。
私は入り口付近に突っ立ったままで、中々足が動かない……
…
「早くしろ。俺は気が長くないって言ったよな?大切なお兄ちゃんの為だろ?」
早くしなきゃ……
早く行かなきゃ……
その時、不意に背後からノックの音が聞こえて、ビクッと反応してしまった。
「兄貴〜電話なんだけど」
「……解った」
先輩は軽く舌打ちをして、すぐ帰って来ると部屋を出て行った。
開いたドアから1人の少年が部屋に入って来て、話しかけてきた。
「あんたさ、兄貴の彼女?」
「えっ……いや、彼女って言うか……」
一応立場的には彼女、になるのかな?
でも、今は……
私が返答に困って黙っていると、彼の口から驚きの言葉が飛び出してきた。
「あんたが助けたいのは、陵って悪魔の事?」
「っ……!?な、何でそれ……」