ぼくらの事情

「更正って?」


「出席日数と学力の向上。俺に面倒見ろって」



「…………」



人選を間違えてる……。


聞いた瞬間、幼なじみたちの頭に同時に浮かんだ言葉だった。


加治原 響生は品行方正で優等生な生徒会長で通っているが、その実態は生粋のボンボン育ちのただの冷血漢だ。



「なんでこの娘、学校に来ないのー?」


「知らん」


「知らんって……」



本当に更正させるつもりなんてあるんだろうか。


架の頭によぎった不安を余所に、当の本人は知らん顔で携帯をいじくっている。



「とりあえず学校に来てもらわないと話にならないな」


「じゃあ、お迎えに行ってみる? さすがに家まで来たら出て来るでしょっ」



調査書に書かれた住所を見ながら架と咲奈が段取りを組んでいるのを後目に、響生はソファーからおもむろに立ち上がり扉へと向かって行く。


「ちょっと響生ーっ」


「そんなやる気の無い人間、まともに相手にするだけ時間の無駄だ」



容赦なく吐き捨てたセリフを残し、響生は生徒会室を後にしていった。


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