ぼくらの事情

父親からの指令を失敗させるのは、一方的で理不尽な響生の退学を意味する。


ついでに、響生の親友友情割引(混じり気の無い私情)で通ってる幼なじみたちも芋づる式で仲良く退学だ。



例え相手がアホでやる気皆無な人間であれ、言われたからには更正させねばならないのだ。



どんな手を使っても……。




「ねぇ……」


「なんだ」


「これって、犯罪なんじゃない?」


「母親の了解は得てるから大丈夫だ」


「とは言っても……人としてどうかと思うけど」



「だったら外で待っていれば良いだろ。俺一人で行ってくる」


「…………」



それが一番怖いんだけど。
とは、口が裂けても言えず、幼なじみ二人は仕方なく響生の後ろについていくことにした。



登校時間一時間前。

昨日の調査書片手に訪れた一軒の家のチャイムを鳴らすも、人が出て来る気配は一向に無い。


痺れを切らした響生坊ちゃまが実行したのが、本人の意見お構いなしの強行突破だった。


家主である母親の了解を得て、鍵を開けた響生は何の躊躇いもなく他人の家へと入り込んで行くから幼なじみたちはタジタジだ。



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