ぼくらの事情


「もー、響生汚ーい」


ポタポタと口から床に水たまりを作る男に、


「ちょっと、響生大丈夫?」


慌てて手に持っていたタオルを差し出した絆の近付いた顔は、


「っ!?」


事故の記憶も、さっきのピンク映像も、何もかもがごちゃ混ぜになった脳内にパニックを引き起こし、



「響生っ!?」



お風呂にも入ってないのに完全にのぼせた響生の体が、思いっ切り床の上にぶっ倒れてしまった。



「響生、響生っ」



心配そうに響生の体に呼び掛ける絆の後ろで、



「……咲奈がこんなことして絆嬢の胸とか言うから」


「……違うもん。架がこんなもん見せたからだよっ」



いつの間にか床に転がっていたDVDのケースを手にした咲奈と、両手をお椀状にした架がお互いに罪の擦り付け合いをしていた。



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