ぼくらの事情

結局、架から受け取った写真をポケットにしまい、促されるままにやって来たリビングでは、


「…………」


次々に出てくるおどろおどろしいゾンビをマシンガンで撃ちまくり、


「キャーッ! ヤッタヤッタ!」


キャピキャピと可愛らしい声で大はしゃぎする、絆と咲奈の姿があった。


「わぁー。すげぇミスマッチ」


それを何故か上機嫌で見つめる架の隣では、


「……ぅっ」


画面一杯に現れるハイクォリティーなゾンビたちから目を逸らす響生が、青白い顔でソファーに座り込んだ。



「ハイハイッ。選手交代ー」



それに気付いていながら響生の腕を掴み、交代を要請した架。


怖いからイヤだ。


なんて口が裂けても言えるわけがなく、その後延々二時間は付き合わされた響生の顔は、



「あれ、まだ気分悪いの?」



もはや、画面上のどのゾンビよりも生気が失われていた。


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