ぼくらの事情

空が白んで来た頃。

漸くまぶたの裏からゾンビたちを退散させ、気持ち良い眠気に誘われていた響生の耳に、



「いやぁ、これは響生の待ち受け決定だな」



ボソボソと耳障りな声が聞こえて来たかと思えば、



「まさか逆夜這いとは、咲奈も思ってもみなかったよ」



軽快なシャッター音とフラッシュの連発に、思わず顔をしかめた。




人がせっかく気持ち良く寝てんのに……。



ここは文句の一つでも言ってやらねばと、寝不足でシバシバする瞳をゆっくり開けば、


「…………」


朝っぱらからおんなじ格好で、携帯を構えた幼なじみたちの姿が飛び込んできた。


この異様で悪趣味な光景に、何事かと体を起こしてみれば、


「えっ」


「あっ、響生」


「チッ、もう起きたか」


傍らには何故か、スヤスヤと可愛らしい寝顔で可愛らしい寝息を立てる絆の姿があった。



驚きで完全にフリーズした響生が、


「なんっ!!」


思わず叫びそうになったのを、瞬間的に架が手のひらで押さえる。



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