ぼくらの事情
お昼過ぎになり、
「ただいまー……おまえら靴ぐらい揃えて脱げよ」
可愛らしい紙袋を提げたスーツ姿の澪路が、ひょっこりと玄関から顔を出した。
「あっ、おかえ……」
「ちょっと澪路くんに咲奈からお話があるんだけどっ!!」
「俺もだっ!」
キッチンからお昼の支度をしていた絆が声を掛けるより早く、走り寄った咲奈と響生は澪路の両腕を掴み、
「わっ! ちょっと! おまえらっ!」
澪路の部屋の方へと有無を言わさず引っ張られていく。
「これは貰っとくよー」
連れ去られ際、澪路の手にあった可愛らしい紙袋を取り、
「はいっ、お土産ー」
さっそく箱の中のケーキを品定めし始めた。
「二人ともすごい剣幕だったね……」
「まぁ、今まで美味しい思いしてきたツケが回ってきたんだよ」
心配そうに三人が消えていった階段の方に目をやる絆の傍らで、架は一人パクパクと暢気にチーズケーキを口に運んでいた。