ぼくらの事情

お昼過ぎになり、


「ただいまー……おまえら靴ぐらい揃えて脱げよ」



可愛らしい紙袋を提げたスーツ姿の澪路が、ひょっこりと玄関から顔を出した。



「あっ、おかえ……」


「ちょっと澪路くんに咲奈からお話があるんだけどっ!!」


「俺もだっ!」



キッチンからお昼の支度をしていた絆が声を掛けるより早く、走り寄った咲奈と響生は澪路の両腕を掴み、



「わっ! ちょっと! おまえらっ!」



澪路の部屋の方へと有無を言わさず引っ張られていく。



「これは貰っとくよー」


連れ去られ際、澪路の手にあった可愛らしい紙袋を取り、



「はいっ、お土産ー」


さっそく箱の中のケーキを品定めし始めた。



「二人ともすごい剣幕だったね……」


「まぁ、今まで美味しい思いしてきたツケが回ってきたんだよ」



心配そうに三人が消えていった階段の方に目をやる絆の傍らで、架は一人パクパクと暢気にチーズケーキを口に運んでいた。
< 128 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop