死神少女
母には相談しなかった。

自分が病気だと気づいてつまうのが怖くて、誰にも光について尋ねる事はせず日々を淡々と過ごした。


謎の光が見え始めて、ふた月ほどたった6月のある日。


当時担任であった麗子先生の頭に、例の謎の光の玉が浮かんでいるのが見えた。

プカプカと、やはり消えそうに輝きながら浮いている。


やはり麗子先生も気づいていないのだろうか。

いや、気づいているかも知れない…。


あたしは少しの期待と大きな諦めを胸に麗子先生に尋ねた。


「先生の頭の上に浮かぶ光はなんですか?」



麗子先生は困惑したような顔で「頭の上?」と鞄から鏡を取り出し、頭の上を映すと「なんにもないわよ?」と苦笑いとも、嘲笑とも言えない笑みをあたしに向けた。


「やっぱり…見えて、、ないんですね」

「え?」

「いえ」

あの時の会話を思いだすと、まだ小学校1年生だったのにやけに可愛げのない子供だなぁと思う。
あたしは年上の人にはいつも敬語を使っていた。
今もそれが目上の人に対する礼儀だと感じていはいるが、子供なんだから…と10年も前の我が身に思いを馳せた。



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