俺様王子と秘密の時間


「はぁああ……」とため息をついたあと、千秋は静かに口を開く。



「誰がいつ“誰でもいい”なんて言ったんだよ?」

「だって……だって……」

「オレが“王子様”だからとかバカみてぇなこと言わねぇよなぁ?」


ギクッ……。

いや、全くその通りなんです。

やっぱりお見通しなんだ。


始まりは好奇心から盗み聞きをしてしまってそれを千秋に見つかった。

そんなことがきっかけで。

でも千秋は王子様なんだから、わざわざあたしなんかじゃなくても。

そんな疑問がずっと引っかかっていたの。


うっと黙りこむあたしに千秋の前髪が降りかかる。


吐息が絡まり合うくらいあたし達は近すぎて、恥ずかしくなったあたしは顔を背けた。



「ちゃんとこっち見ろって」


強引に向かせられたあたしの顔は、きっとリンゴみたいに真っ赤だと思う。

 

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