【盲目の天使】番外編
一ヶ月前、ルシルを侍女に採用したのは、この俺だ。
街から人が逃げ出して、選ぶ余地がなかったとも言えるが・・。
それにしても、天然なのかなんなのか、ルシルのどじっぷりは、群を抜くスバラシサで。
貧乏な家庭に育ち、長女として兄弟の面倒を一生懸命見てきたルシル。
俺は、そんな彼女なら、きっと王女の面倒をうまくみれるんじゃないかと期待してたんだけど。
俺は、ルシルが隣の部屋で王女を着替えさせている間に、
床にちらばったものを片付け始めた。
「あ、マーズレン!ごめんね。またやっちゃって」
いつの間にか俺をなれなれしく“マーズレン”なんて呼ぶようになったルシル。
俺、一応、第一王子付きで、ノルバス国じゃ結構高い地位の兵士なんですけど。