君へのラブソング
街中、そんなドラマみたいなことをするあたし達を、すれ違う人々は好奇な目で見ていた。
「…帰ろう?」
ふわりと笑い、優しくあたしの手を取る。
温かい陸の手。
この手を離したくない。
そう心の底から思った。
「…ねえ、美奈。」
くるり、と振り返り、真っ直ぐな瞳であたしを見る。
どくん、と大きく脈打つ心臓。
"結婚はなかったことにしようか"
そう言われる気がした。
もともと、できちゃった婚なわけでもう赤ちゃんがいない今。する理由がない…。
「すぐには無理だと思う。ゆっくりでいいから、いつもの美奈に戻ってくれ。
また美奈の笑顔、見せてくれよ?」
そうあったかい言葉を掛けてくれた。
陸は、ほんとうに優しくて穏やかで…いつもあたしを包んでくれる。
本当に大切な人。