君へのラブソング
家に着くまで、沈黙が続いた。
あたしと陸は去年から同棲をしている。
部屋には、沢山の写真が飾られて、幸せな匂いが鼻をくすぐる。
「…ご飯、作るね。」
涙ですっかりメイクが取れた無様な顔で無理矢理笑みを作り、キッチンに立つ。
「いいよ、美奈。俺が今日作るから。」
あたしの後ろに立ち、穏やかな笑みを浮かべて、陸は言う。
「美奈は、休んでて。」
「…ありがとう。」
そんな陸の気遣いに、ちくんと胸が痛んだ。
陸もきっと、辛いのにそれをあたしに見せない。
たまには、弱いとこ見せてくれてもいいのに。
頼りないかもしれないけど、頼ってほしい。
陸の背中は少し悲しげだった。