君へのラブソング
「はい、こんな感じでいかがですか?」
ニッコリ満面の笑みを浮かべて美容師さんは俺に尋ねた。
「あ、はい…いいです。」
すっきりした髪。
初めて、ショートヘアにしたこの時、嬉しくて内心涙が出そうだった。
満足して、鼻歌を歌いながら帰宅した。太陽が沈みかかり空は綺麗なオレンジ色。
いつも見ている夕焼けなのに昨日までのそれと全然違う感動が俺の心に溶け、身体中に駆け巡った。
今日、家に着いたら家族に告白しよう。変な目で俺を見るかもしれない、拒絶されるかもしれない。…嫌われるかもしれない。
それでも…そんなこと、耐えられないかもしれないけど、隠し続けることは家族への、大切に育ててくれた家族への最大の裏切り。
そう、思うんだ。
俺は、オレンジの空にそう心の内を告げた。