君へのラブソング
「…ただいま。」
ドキドキ、ドキドキ。
緊張で鼓動が速まるのが分かる。
「百合、お帰りなさい!遅かったのね……。」
母さんは俺の短い髪を目を見開いて見ていた。
無理もない。母さんに内緒で切ったんだから。
「どうしたのよ、百合!」
「…切ったんだ。」
「そんなの見れば分かるわよ!どうして切ったのよ。」
母さんは眉間に皺寄せそう震える声で言った。
「どうしたんだ?騒がしいな。」
リビングからひょっこりと顔をだしたのは父さん。
「あなた!見てよ、百合ったら!」
「…似合ってるよ、百合。」
しばらく俺の顔を見て、目を細め、父さんは言った。
「ありがとう。」
「百合は女の子よ?こんなに短く切って、まるで男の子みたいじゃない。」
「何を言ってるんだ。今時女の子でもショートヘアの子なんて珍しくないだろ。」
そう母さんを宥める父さん。
「…ねえ、父さん母さん。話があるんだ。」