うちのおネコ様

（10）微熱

家に帰ってから、本当に熱が出たんじゃないかと思った。だって耳の裏から頭のてっぺんまで、私の顔はさくらんぼのように赤かったのだから。


キッチンに立っていた私は、ソファにかけている長身の金髪ふわふわ青年の方に目がいってしまい、仕方が無かった。

あれはルディだ。


ルディは（一応）兄であるハルと、（一応）弟分のブルーと一緒に遊んでいる。遊んでいるといっても、いつものよに取っ組み合いでじゃれたり、お互いの尻尾を追いかけたりしているわけじゃない。



彼は私達家族がいつも使っている猫じゃらしで、さっきから二人の相手をしているのだ。


私はついついそのキレイな横顔に見とれてしまい、買ってきた鶏肉のパックをぼとりと床に落とした。


落とした音に反応して、ルディがこちらを見る。



私は慌ててそれを拾い、残りの生鮮食品を冷蔵庫にしまった。


ハルが音に反応して、こちらにむかってきた。後を追ってブルーも･･･そしてルディも。


「美子？・・・疲れた？？」

大丈夫？？とキッチンのカウンターに両肘をつけ、何を落としたんだ？と聞いてきた。


「大丈夫大丈夫っ！いいからあんたはゆっくりソファでくつろいでてよっ」


私は目線をはずして、なんでもないっと元気に振舞ってみた。

「そー？」


ルディはそういうとソファに戻った。それを追いかけて、ハルとブルーもソファに飛び乗った。



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