うちのおネコ様
外の日差しが弱まり、ジリジリ・・・という暑い感覚だけが残って空がうっすら赤くなった頃、美子はゆっくりと目を覚ました。

頭が痛い・・・変な時間に変な風にねると、こうなってしまう。ボーっとしたまま、クーラーの効いていない部屋でうっかり寝たため、私の顔や身体は汗でじっとりとしていた。

重たい頭と身体を持ち上げ、すぐにブルーの事が気がかりになり私はベッドから降りた。
すると足元で、「にゃぁ~~~!」と元気の良い高い声が聞こえた。


私はギクッとしてそちらを向いた。

にゃあと可愛い声を出したのは、ルディだった。

私はつい自分の部屋のドアを閉めずに寝てしまった事に気付き、そして声の主がルディであった事にほっと胸をなでおろした。。


「良かった。また自分の知らない所でネコに戻っちゃったのかと・・・」


そう言うと、私は足にまとわりつくルディを見て、昨晩の事を思い出した。


「昨日までは、あんたが人間だったのにね。今日は今までのルディだから、私何がなんだかわからないよ・・・」

そういって、私は猫を抱き上げた。


昨日の彼は、金髪で現役スポーツ選手のようなすばらしい体格に、超イケメンな人間離れをした美男子だった。そんな彼が今ここにある布団で、朝一緒に目が覚めてしまったのだから、16歳思春期娘には、相当刺激が強かったんだと思う。

いまはこんな風に抱っこしても、何にも「恥ずかしい」という気持ちは生まれない。

あ、むしろルディは「恥ずかしい」と思ってるかも?


そう思ったらなんだか私も恥ずかしくなってしまった。。

次に人間の姿で会った時彼にまっさきに「俺を抱っこして、俺のお腹に顔うずくめたなコノヤロー!」と冷やかされては、言い返せる言葉は1つも見つからない。


こんなことしてしまう理由は簡単だ。

私がルディも他の2匹も、溺愛してるから。大好きだから・・・


そんなこと、告白もしたことのないサクランボガールが男性の前で言えるはずがない。


そう。例えそれがうちのおネコ様達だったとしても。
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