感方恋薬-知られざる月の館-
あたしがそう呼ぶと、幸はあたしの足元に丸くなり、右足に楽しそうにじゃれ始めた。


今の現象を見て、科学好が興奮するのは何となく分かるが、もう少し静かに興奮してくれ…っていうのは無理か。


あたしはきっぱり諦めて、暫くそれを静観する事にした。


「あっ、そうだ!」


幸は何かを思いついた様に、がばっとあたしの足もとから立ち上り「除霊しなければなりませんね」と、楽しそうに一言言うと幽霊探知機をそそくさと片付けて帰り支度を始めた。


「じゃぁ、私は、新たな研究が有りますので」


右手をしゅたっとあげてあたしたちに、元気に挨拶すると、幸は脇目も振らずに教室を後にした。
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