感方恋薬-知られざる月の館-
「ちょ、ちょっと、幸…」


ひゅうと風が吹き抜けた様な感じがした心にも隙間風が吹いた様な気がする。


あたしは教室にひとり残り、がっくりと膝をつき、意味の無い敗北感にその場から動く事が出来なかった。

         ★

『水戸〇門』は再放送が醍醐味なんだそうだ。


1週おきに新しい話を見るのも良いのだが、毎日1話ずつ話を見ていくと、監督の特徴や、よく出てくる、悪役の味付けが、微妙に異なってていて、勧善懲悪、御都合主義のかなり強引なエンディングも何となく許せてしまう気になるらしい。


弟談である。


あたしは、ソファーに座って、その再放送に熱中する弟の首を、ヘッドロックすると、うりゃっと横に曲げてみた。


「いたた、痛いよ姉貴」
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