感方恋薬-知られざる月の館-
あたしが部屋に戻ると、ふいに爺が現れた。


「いやいや、参ったもんじゃな」


爺は後頭部をぽりぽりと掻きながらあたしの前をうろうろし話し始めた。


しかしあたしはその爺の言葉をひったくる様にしゃべり始めた。


「参ったじゃないぞ爺!、なんであんな子供騙しの機械に呼ばれて出てくるのよ、呪術の大師範が聞いて呆れるわ」


少し怒った様なあたしの表情を爺は、じっと覗き込み、ちょっといじけた仕草を見せながらあたしに向かって話した。
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