MARRIAGEABLE─お年頃─

前を向き視線を進行方向に見据えたままのヒロキの目は、外灯の光を取り込み瞬いていた。

そのまま立ち止まる事なく、歩きながらヒロキは言葉を続ける。

「お前さ、今のままでいいのか？」

この言葉には驚いた。

いろいろ相談に乗ってもらい愚痴を聞いてもらっていたが、その言葉を言われたのは初めてだったから。

意識してそうしていたのか、無意識なのかは分からないがその言葉を今初めてヒロキの口から聞いた。

なぜそんな事を今さら聞くのかそれを知りたくてヒロキの顔を見るが、ヒロキの目は前を見たままでこちらに視線を移してはくれない。

「…なんで？」

ヒロキの質問に答えずに質問で返してしまう。

ドキドキと脈打つ音が耳の奥で聞こえ、私の頭は真っ白になる。