MARRIAGEABLE─お年頃─
『南さんから聞いた?』

「はい…。」

南さんとは同じバイト先の人で、彼の事をいろいろ教えてくれた人だ。

『確かに彼女はいる。』

その言葉に舞い上がっていた私の心は、一気にどん底へと落ちて行く。

『でもユミカちゃんの事が本当に好きだから…』

好きだから?

何も言わない私を気にする事なく彼は続けた。

『他の女とは別れるよ。だから…。』

彼の言葉に嘘はないんだろうか。

彼の事が好きで好きで…。

忠告はされていても、その気持ちが大きくなるばかりだった。

駄目だと言われれば、余計に気になる。

無理だと言われれば、どうしても欲しくなる。

私は彼に捕まえられたいと、ずっと思っていた。



< 39 / 59 >

この作品をシェア

pagetop