MARRIAGEABLE─お年頃─
「まだそんな事気にしてたのか。」

乱れる呼吸の私とは対照的に、彼は落ちついた様子だった。

どうやら彼にとっては「そんな事」だったらしく、私との考え方の違いにその涙も止まる。

泣くのを我慢している私を見て彼は心なしか嬉しそうな顔をした。

それは満足気で、それでいて自信に溢れている様な、そんな笑顔を私に向けた。

「そんな事は、もう気にしなくていい。」

一度は離れた彼の腕がまた私を包み込む。

彼はさっきよりも腕に力を込め「俺にはユミカだけだから。」そう言うとより強く私を抱きしめた。

彼の甘い囁きに私は酔いしれる。

彼の匂いが香れば落ちつき、私の頭を優しく撫でる掌に温もりを感じれば、心が安らぐ。

それはもう歯止めなど利かないくらいに、私は自分自身を失っていった。



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