【短編】お願い、ヴァンパイア様
どんなに醜い欲望すらも、その命に代える。
コンプレックスに思っていた髪質だって、レンが触れれば温かく息づく。
相変わらず直らない泣き虫も、レンは優しく包んでくれる。
きっと、すでに恋に落ちていた。
「泣くな。人間の涙には……弱いんだ」
哀しそうに、でも笑ったレンの顔が頭に焼き付いて、今でもすぐ思い出せる。
今までの自分を否定したくなくて。
すぐには変われなくて、蓋を閉めるように翔くんにすがっていた。
「わたし、レンの側にいたい」
本当のわたしの言葉。
しかしレンは、カッと険しい顔をしてわたしを睨みつけてきた。
「同情なんかまっぴらだ!」
そういってわたしを突き飛ばし、海岸線をすこし走るとふっと姿を消してしまった。
レンに突き飛ばされた衝動で、道にはカバンから飛び出した教科書やノートが散乱した。
そのなかには、あの魔術書も。
パラパラと潮風に煽られ勢い良く捲られるページ。
わたしはそっと手に取る。
『恋の媚薬』になんて、頼らなければこんな想いをしなくて済んだのかもしれない。
でも、それがなかったら、わたしたちは出会えなかった。
コンプレックスに思っていた髪質だって、レンが触れれば温かく息づく。
相変わらず直らない泣き虫も、レンは優しく包んでくれる。
きっと、すでに恋に落ちていた。
「泣くな。人間の涙には……弱いんだ」
哀しそうに、でも笑ったレンの顔が頭に焼き付いて、今でもすぐ思い出せる。
今までの自分を否定したくなくて。
すぐには変われなくて、蓋を閉めるように翔くんにすがっていた。
「わたし、レンの側にいたい」
本当のわたしの言葉。
しかしレンは、カッと険しい顔をしてわたしを睨みつけてきた。
「同情なんかまっぴらだ!」
そういってわたしを突き飛ばし、海岸線をすこし走るとふっと姿を消してしまった。
レンに突き飛ばされた衝動で、道にはカバンから飛び出した教科書やノートが散乱した。
そのなかには、あの魔術書も。
パラパラと潮風に煽られ勢い良く捲られるページ。
わたしはそっと手に取る。
『恋の媚薬』になんて、頼らなければこんな想いをしなくて済んだのかもしれない。
でも、それがなかったら、わたしたちは出会えなかった。