【短編】お願い、ヴァンパイア様
 愛している人に捨てられた。

恋一つ叶えられないでいるわたしに、レンの気持ちを理解することは出来るわけがない。


「……ミーナさん、あなたはどうしてレンを一人にしたの?」


 日差しに透ける頁に、思わず問いかける。

答えは帰ってくるわけがないのに、うっすらとその向こうで文字が浮かび上がった。


 その次のページにはノートの切れ端のような紙が挟まっており、インクはすでに薄く消えかけていた。


 目を凝らして繋がる文字を追う。


「…これは、手紙?」


『Dear.Ren』

 英語が連なっていて、すぐわたしにはわからなかった。

けれど、これが『レン』という人物に宛てられたものであり、偶然とは思えなかった。



 陽が落ちてしまう前に。

急いで、先ほど散乱してしまった荷物の一つ、英語の辞書を片手に夕日を頼りに手紙を解読していった。



 あまり得意ではないけれど、必死に読みながらペンを動かす。


 『最愛なるレンへ』と、始まる手紙。

次第に解けていく、その深い『想い』。


 わたしには、とても重過ぎて手が震えてきたのだけど……やめるわけにはいかなかった。




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