満月の銀色ススキ
「ススキさん!」
そこまで悟ると、胸があたたかくなった。
勢いに任せて叫ぶと、ススキは立ち止まって振り返った。
望月は頬をほんのり朱に染めた。
「ありがとう。ねぇ、明日もあそこにいる?」
「…いるよ」
「明日も行っていいかな?」
ススキは間を空けた。
望月はその様子に不安になる。
やがて、ススキは静かに言った。
「…夜じゃなきゃね」
あからさまに表情が明るくなったのを、望月は自分で感じた。
二つ返事をして、これでもかというくらい力を込めて頷く。
「じゃあ、また明日!」
「うん…明日」
手を振って見送る望月に、軽く手を振り返した。
望月はススキの背中が夜の道に消えて行くまで見送る。
翌日が酷く楽しみで、治まった筈の火照りをまた感じ始めていた。