満月の銀色ススキ
二章
翌朝。
望月は昨夜と同じ場所に向かっていた。

陽は丁度、真南に位置を移している。

本当は、午前中に足を運ぶつもりだった。
だが、時間を待ち合わせた訳ではない。

しかも、昨晩に帰宅したのは午前2時を過ぎていた。
望月を家まで送り届けてから帰ったススキがいる可能性は低い。


「ススキさーん、いますかー?」


目的地に着いても、ススキの姿は目視出来なかった。
何気ない調子で、軽く声をかけてみる。

返事はなし。


「ススキさーん」


もう一度だけ名前を呼んでみた。
その瞬間、ずどんと大きな音がする。

音に驚いて、反射的にびくりと躰を縮ませた。
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