満月の銀色ススキ
人間は不思議だ。

ススキはそう思った。

自分は神だと自覚した覚えはない。
ましてや人間に神だと申し出た覚えもない。

自分達とは違うものを侮蔑しておきながら、長く住み着いたものは「神」と定義する。

アヤカシのように、強い者が主となる世界ではないのだ。
理解には到底達することが出来なかった。


「俺はこの土地に住むだけの、ただの狐だよ。そんな大それたものじゃない」


「え、ススキさん狐なの?」


少し困ったような微笑みを浮かべた。
そんなススキの表情を汲み取る前に、望月は目を丸くする。
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