満月の銀色ススキ
言っていなかったか、とススキは肯定した。

その答えに、望月の表情は明るくなる。
嬉しげに頬を紅潮させたというのが正しかった。


「ススキさん、お稲荷様だったんだ?すごーい」


「…何が凄いの?」


望月の言葉に、ススキは訝しげに首を傾げる。


「ずっと、お世話になってきた神様と会えたんだもん。凄いことでしょ?」


「大したことじゃないよ。元の姿なら誰でも見れるから」


ススキは慎ましく答える。
それに、望月は目をぱちぱちとさせた。

だが、次第に口を尖らせる。


「…私、ススキさんの元の姿って見たことない」


その発言に、ススキは目を丸くした。
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