満月の銀色ススキ


「…望月に会うときはこっちの方がいいと思って……」


ススキは呆気にとられながらも答える。

望月は考えるようにして。
口を尖らせたまま、ススキを見た。


「でも、見たい」


「たかが狐だよ?」


「本当のススキさんでしょ?」


何を言ってるのか、というように。
望月は眉を下げてススキを見る。

それにまたススキは言葉を失ってしまった。
しかし、すぐにまた微笑が込み上げる。

どうして、望月は人を喜ばせるのが上手いのだろう。

そんな考えがよぎる。

そっと手を伸ばして、望月を引き寄せる。
それから、こつりと額同士をぶつけた。
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