満月の銀色ススキ
「…望月って、可愛いね」
「かっ、可愛くないよ」
笑ってゆっくり離れたススキに、望月は慌てて否を述べる。
その慌て振りにススキは益々笑ってしまった。
誤魔化すように、ぽんと頭を撫でる。
「ホント、可愛い」
望月は益々顔を赤らめる。
「ススキさん、実は意地悪でしょ」
「素直な感想だったんだけどな」
拗ねるような言葉。
思わず頬を掻いた。
瞳を向ける望月に、苦笑を浮かべる。
「望月…」
ぽすん、と肩に顔を埋める。
望月の躰が震えた。
低い体温が、心地いい。
瞳を閉じて。
静かに言った。
「少し、このまま…」
あと、少しだけ。