【完】ひとつ屋根の下で。



一度川から離れ、近くのディスカウントショップで花火とバケツとライターを買い、また元の場所に戻る。


「苺、風でローソク着かないんだけど」



「馬鹿、ローソクの周りをこうやって、こうして……」



アタシは大勢で暮らしてたから、こういうの慣れてるけど、ヒカルは違うんだ。



ずっと、長いことひとりでいたから、慣れてない。



「自分で花火すんのなんて、祖父母と住んでた時以来」



なんて言って笑ってるとこ、楽しいんだろう。良かった。



ヒカルは、これまで見たことないくらいに、楽しそうに様々な花火を、空間いっぱいに、ちりばめる。



途中で色が変わる花火や、勢いの良い花火、パチパチと派手な音を出す花火。



いつかヒカルとベランダから、打ち上げ花火を見たときのことを、なんと無く思い出す。



あの時は、ヒカルをこんなにも、愛すなんて、思ってもみなかったな。
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